大学を卒業すると、江戸川区小岩の質屋の質のほうではなく販売部(小売り)に、住み込みで二年間修業に出た。いずれ実家の質屋商売に戻ったら、販売を手がけようと思っていたからである。「そのときは、商品知識を知るとかまではとても頭がまわらなかった。接客業のたいへんさ。仕事というのはこれほどきびしいもんだよってことで、二年間を終えた感じですね。だから、商品知識がつくようになったのはウチに帰ってきて、セリ市場で品物を買うようになってからです」Iさんが三代目を継いだのは。修業先から実家に戻った昭和五十一年(1976)頃である。予定どおり、質良はそのままに、販売部のほうに積極的に進出していくが、じつは小売り販売はその前から官業を始めていた。
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